「百歳の映画作家 樋口源一郎 生命(いのち)のスペクタクル」企画意図
文/清水浩之(ゆふいん文化・記録映画祭コーディネーター、neoneo坐)
2006年3月14日、樋口源一郎監督が100歳のお誕生日を迎えられると
知って、私はあらためてその作品歴を辿ってみたいと思いました。
2002年の「ゆふいん文化・記録映画祭」に、撮影の石井董久さんと
ご一緒にゲストとして遥々九州までお越しくださった樋口監督(当時
96歳!)が、「解明されていない謎を映像で追求する」ことの意義を
語られるのをお聞きして、これこそまさに全てのドキュメンタリー映
画の目標ではないかと感銘を受けました。
それ以来、私が拝見した樋口作品は1949年の『長崎の子』から2001
年の『きのこの世界』まで合計38本、伝統文化記録映画から科学映
画、PR映画、さらに左卜全さん主演の劇映画『白旗ぢいさん』(1952
年)まである多彩な作品群はいずれも面白く、しかも独自のトーン、
作風に貫かれていることに魅かれました。こうした魅力を、ひとりでも
多くの人にご紹介したいと考えて上映を企画しました。
上映会は不特定多数の人々の関心を呼び起こし、
作品に触れた人々の間に新たな「科学反応」を起こします。
2006年3月、樋口源一郎監督の映画作品がより多くの人々に
「科学反応」を起こすことを期待しております。